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日常生活の中で起こりうる、感じうるようなことを
きっかけにクリニックを受診され、そこで脳の病気なり怪我が判明することも少なくありません。
すこしでも異変を感じたら、すぐに受診ください。

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パーキンソン病

手の震えや歩きなどの体の動きに不調が現れる「パーキンソン病」

パーキンソン病は、脳の神経に異常が生じることで、脳からの命令が全身にうまく伝わらなくなり、身体が動かしづらくなる病気です。
多くは40歳代から症状が現れ始め、50~60歳代で発症します。ただ、若い方や70歳代の方でも症状が見られることもあります。
パーキンソン病の方は、1000人に1人~1.5人くらいです。60歳以上では100人に約1人で、高齢者では多くなりますので、高齢化に伴い患者数は増加しています。
パーキンソン病は、脳の中の神経の伝達物質であるドパミンを作る細胞(ドパミン神経細胞)が減ってしまうために起こる病気です。しかし、ドパミンが欠乏する病気はパーキンソン病の他にもあります。
「ドパミンが欠乏していてもパーキンソン病ではない病気」をまとめてパーキンソン症候群と呼びます(後述)。
パーキンソン病には効果的なお薬が多く存在しますが、その「使い分け」には専門的な知識が必須です。 この病気のような症状に心当たりがあるという方は、お気軽に当クリニックにご相談ください。
しっかりと診察・診断した後に適切な治療・検査を検討いたします。

Main symptoms of Parkinson's diseaseパーキンソン病の主な症状

安静時振戦(ふるえ)
ふるえは静止時の振戦で、椅子に座って手を膝に置いている時や歩いているときにみられます。動かすとふるえは小さくなったり、手で丸薬を丸める様な震えや計算などの負荷で強調されるのも特徴です。
筋強剛(筋固縮)
筋強剛は自分ではあまり感じませんが、診察時に手や足、頚部を動かすと歯車のような特徴的な抵抗がみられます。
無動・寡働
動作緩慢は動きが遅くなることで、同時に細かい動作も苦手になります。最初の一歩が踏み出しにくくなる「すくみ足」が起こることもあります。仮面様顔貌という表情が乏しくなることもあります。
姿勢反射障害
姿勢反射障害はバランスが悪くなり転倒しやすくなることです。後ろに倒れやすく、一度バランスを崩すとそのまま倒れてしまうため注意が必要です。姿勢反射障害は病気が始まって数年経過してからみられます。早い段階で起こる場合(病気が始まって2年以内)には、進行性核上性麻痺などのパーキンソン症候群の可能性があります。
非運動症状
運動症状のほかには、便秘や頻尿、発汗、易疲労性(疲れやすいこと)、嗅覚の低下、 起立性低血圧 (立ちくらみ)、気分が晴れない(うつ)、興味が薄れたり意欲が低下する(アパシー)などの症状も起こることがあります。

Parkinson's syndromeパーキンソン症候群

パーキンソン病は、脳の中の神経の伝達物質であるドパミンが欠乏する病気ですが、「ドパミンが欠乏していてもパーキンソン病ではない病気」があり、それらをまとめてパーキンソン症候群と呼びます。

  • パーキンソン病に似た病気(変性疾患)
    多系統萎縮症
    進行性核上性麻痺
    大脳皮質基底核変性症
  • その他
    脳血管性パーキンソニズム(脳卒中)
    薬剤性パーキンソニズム
多系統萎縮症
自律神経系の障害が特徴で、早くから頻尿などの排尿障害、起立性低血圧(立ちくらみや失神)が目立ちます。
多系統萎縮症には、パーキンソン病と似た症状が目立つタイプと、ふらつきや歩行障害などのバランス障害(失調)が目立つタイプがあります。
お薬への反応がパーキンソン病より乏しく、進行がやや早かったりするため、途中で診断が見直されて多系統萎縮症と診断されるケースもあります。
頭部MRI検査で被殻の萎縮、小脳半球の萎縮や橋の横走線維の変性像(十字サイン)を確認することで診断がより確かなものになります。
進行性核上性麻痺
脳幹の神経細胞が減少する病気で、早くからすくみ足や、後ろ向きに転びやすいため何度も転倒するといったことを経験します。
進行すると目の動きが悪くなり、認知機能が低下してきます。
一般的に50歳以上で発症し、パーキンソン病のお薬が効きにくく、パーキンソン病より症状が早く進む傾向があります。
頭部MRI検査では中脳被蓋という部分が萎縮してハチドリのくちばしの形に見えるハミングバード徴候や、第三脳室が拡大するという特徴があり、他の検査と合わせて診断するためにMRI検査が有効です。
大脳皮質基底核変性症
パーキンソン病の症状と大脳皮質の症状が見られる病気です。大脳皮質症状とは、片方の手足が固まって思うように使えない、動作がぎこちない、意識した通りにならないといった症状を指します。
身体の左右のどちらか一方に症状が強いことが特徴ですが、典型的な症状に乏しく、診断が難しい場合も少なくありません。
頭部MRI検査では、 初期には正常ですが、進行とともに左右対称性の脳の萎縮(前頭葉、頭頂葉)が認められます。
脳血管性パーキンソニズム(脳卒中)
動脈硬化や小さな脳卒中(脳梗塞や脳出血)が積み重なって現れる病気です。
パーキンソン病と比較して、高齢発症で、発症と経過が徐々にというよりは、急にまたは階段状に進行することが多いとされています。
パーキンソン病に特徴的は振戦はめずらしく、左右対称性で下半身の症状が強く、歩行障害で発症することが多いとされています。
またパーキンソン病のお薬が効きにくいのも特徴です。運動麻痺や認知症、感情失禁などが見られる場合は、脳血管性パーキンソニズムも疑い、頭部MRI検査で動脈硬化や脳卒中の検索を行う必要があります。
薬剤性パーキンソニズム
薬がドパミンの働きを妨げることでパーキンソン病に似た症状が起こる病気です。抗精神病薬などで起こることがあります。
症状改善のためには、原因となる薬剤を中止する必要がありますが、薬の減量や中止が可能かどうかを処方してもらっている病院と連携をとりながら、慎重に対応する必要があります。

パーキンソン症候群の可能性がある場合の特徴

脳血管性パーキンソニズムについてはMRI検査による診断が有用であり、薬剤性についても薬の服用歴が参考になりますが、その他のパーキンソン症候群とパーキンソン病の区別は非常に難しいです。
しかし、一般的にパーキンソン症候群はパーキンソン病と比べて以下の特徴がみられます。

  • 1.症状が左右対称、もしくは極端な左右の違いがある
  • 2.症状の進行が早い、早くからよく転倒する
  • 3.早くから認知機能の低下や自律神経症状(立ちくらみ、排尿障害など)が目立つ
  • 4.パーキンソン病のお薬の効きが悪い

パーキンソン病とパーキンソン症候群との判別は初期の段階では非常に難しいので、日頃の症状の変化や気づいたことは主治医の先生に診察時に相談しましょう。
また悩む場合は、一度脳神経内科などの専門の先生へ相談することも大切です。

パーキンソン病/パーキンソン症候群の検査

まず、神経診察からパーキンソン病/パーキンソン症候群を疑う症状があるかを見極めます。
その後、症状を起こすようなお薬を飲んでいないかの確認や、脳血管性パーキンソニズム(脳卒中)がないかを確認するために必要に応じて頭部MRI検査を行います。
薬剤性や脳血管性のパーキンソン症候群でない場合は、さらに詳しい核医学検査で診断することができます。
具体的には『ダットスキャン』と『MIBG心筋シンチグラフィー』と呼ばれる検査です。
核医学検査については、地域の機関病院(熊本赤十字病院、熊本市民病院など)と連携して検査を依頼いたします。
診断後のお薬の開始や調整は当院で相談しながら行ってまいります。

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